糖尿病・甲状腺疾患外来

糖尿病・甲状腺疾患外来とは

当外来は、女性医師による女性のための内科外来です。一般的な風邪、頭痛、膀胱炎、腹痛等の症状から糖尿病、高血圧などの生活習慣病まで、内科専門医が治療にあたります。

女性は男性に比べると、甲状腺疾患(橋本病、バセドウ病 など)に罹りやすかったり、更年期を境に糖尿病や高血圧が増加する傾向にあります。特に甲状腺は女性の妊娠期にも更年期にもとても関わりのあるホルモンです。

甲状腺や糖尿病等について検査をお受けになったことがない方のご相談も可能です。また、健診で指摘された異常の精密検査や治療も行います。
更年期のかたの治療については、婦人科医師と連携し治療にあたります。

女性のお身体のことなら何でもお気軽にご相談ください。


担当医紹介

青山 麻織

資格

  • 日本内科学会認定医
  • 日本内科学会認定総合内科専門医
  • 日本糖尿病学会認定糖尿病内科専門医

所属学会

  • 日本内科学会
  • 日本糖尿病学会
  • 日本内分泌学会
  • 糖尿病妊娠学会

経歴

  • 浜松医科大学卒業
  • 東京都立大塚病院初期研修医
  • 東京都立大塚病院糖尿病内科後期研修医
  • 亀田総合病院 内分泌代謝内科医員
  • 国立病院機構 静岡医療センター内科医員

甲状腺疾患

甲状腺疾患とは

甲状腺とは、のどの真ん中の部分にある臓器のことで、その形は腸ネクタイのような形をしています。ここではホルモン(サイロキシン)が作られています。

これは血液にのって身体の各器官に送られることでトリヨードサイロニンに変換されるのですが、これが一般的には甲状腺ホルモン(人が分泌するホルモンは100種類程度あるとされ、そのうちのひとつ)と呼ばれるものです。

同ホルモンは全身の代謝をコントロールする役割(新陳代謝を促す)を担っています。この甲状腺ホルモンを分泌する臓器に何らかの異常(病気 等)がみられ、その分泌量が過剰に増える、あるいは少なすぎるなどして起きる身体で起きる様々な症状のことを甲状腺疾患と言います。

甲状腺疾患には、主に甲状腺ホルモンの分泌が過剰となって、甲状腺中毒症を引き起こしている状態の甲状腺機能亢進症というのがあります。

この場合、大半の患者様でみられるのがバセドウ病です。その他の甲状腺機能亢進症としては、プランマー病(甲状腺に発生した腫瘍が甲状腺ホルモンを過剰に分泌する)などもあります。

一方、何らかの原因によって甲状腺が機能低下を起こして、分泌量が減少することもあります。これを甲状腺機能低下症と言います。この場合、一過性なこともあれば、慢性的に続くこともあります。代表的な疾患として橋本病が挙げられます。

これは慢性甲状腺炎とも呼ばれるもので、甲状腺が慢性的に炎症している状態です。このように甲状腺ホルモンは分泌量が多過ぎても少な過ぎても異常がみられるようになるのです。

女性と甲状腺

女性と甲状腺

なお甲状腺疾患につきましては、女性の患者数が多いのが特徴で、バセドウ病では男性患者数の約4~5倍、橋本病に関しては男性患者数の20倍ほど多いとされ、どちらも20~40代の女性によくみられやすいと言われています。

ちなみに女性の方が圧倒的に罹患しやすい原因については、現時点では判明しておりませんが、バセドウ病や橋本病は、自己免疫が関係していることが多く、女性は自己免疫疾患に罹患しやすいことから、このようなことが影響しているのではないかとも言われています。

甲状腺疾患を発症すると、甲状腺が腫れるようになります。バセドウ病や橋本病では、首にしこり、のどが腫れていることなどが確認できます(びまん性甲状腺腫)。とくに女性の方で首に腫れやしこりを感じたら一度受診されることをお勧めします。

また、これらとは別に腫れもなく、甲状腺ホルモンの分泌量も正常なのに甲状腺が大きくなることもあります。これを単純性びまん性甲状腺腫と言います。この場合は、経過観察になることが多いです。

このほか甲状腺に腫瘍(結節)ができることもありまが、大半は良性とされ、腫瘍が食道や気管を圧迫しない限りは、自覚症状も出にくいとも言われています。

ただ、悪性の可能性もありますので検査をする必要があります。その結果、悪性の腫瘍と判定、あるいは良性でも直径3~4cm程度あるという場合は、外科的治療による切除などが行われます。

主な甲状腺疾患

バセドウ病

甲状腺機能亢進症の中で最も患者数が多い病気で、主に自己免疫反応によって引き起こされると言われています。

簡単に言いますと、甲状腺を刺激する抗体が作られ、それによって甲状腺ホルモンが過剰に分泌されるようになるというわけです。これによって必要以上に新陳代謝が活発になるので、疲労がなかなか抜けにくくなります。

主な症状は、甲状腺が腫れる(喉元の前面 など)、動悸、眼球突出といったもので、そのほかにも多汗、食欲旺盛なのに体重は減少、脱毛、手足の震えや麻痺、下痢、イライラする、女性であれば月経異常が現れることもあります。

治療について

治療は過剰に分泌されている甲状腺ホルモンを抑制することです。最も基本的なのが薬物療法で、チアマゾールやプロピルチオウラシルを用いるようにします。服用期間としては数年程度を要しますが、全体の3割程度の患者様がこれらで改善するようになると言われています。

また薬物療法では改善の見込みがない、甲状腺が大きく腫れているという場合は、放射性ヨウ素(アイトソープ)か、手術療法による治療法を選択することになります。アイトソープによる治療は、中高年世代で行われるケースが多く、妊娠の可能性のある方には行いません(妊娠中や授乳中の方も受けられません)。

これは、カプセル(放射能を含んだヨウ素)を飲むことで、甲状腺の周囲にヨウ素が集まって、少量の放射線を放出し、甲状腺ホルモンの過剰分泌を抑えていくようにするというものです。治癒率は6~7割としていますが、あまりにも効きすぎて逆に甲状腺機能低下症になることもあります。その場合は、甲状腺ホルモンを薬で補充していきます。

手術療法は、薬物療法だと副作用がみられる、治療に時間をかけられない、腫れが目立っている、腫瘍が併発しているという場合に適用となります。この場合、甲状腺を切除することになりますが、術後は甲状腺ホルモン薬を服用していきます。

腫れが目立つ場合や薬の副作用がある場合などに、甲状腺を切除することでホルモンの過剰分泌を抑えます。術後は甲状腺ホルモン薬の内服が必要となります

橋本病

慢性甲状腺炎とも呼ばれますが、この病気を初めて報告した橋本博士にちなんで橋本病とも言われるようになりました。

これもバセドウ病と同じように主に自己免疫反応によって起きるとされ、つくられた抗体が正常な甲状腺の細胞を攻撃することで、甲状腺に炎症がみられ、最終的には破壊されるようになります。これによって甲状腺の機能低下し、甲状腺ホルモンが分泌されなくなります。

主な症状ですが、首の腫れ(自覚症状がないので気づかないことも多い)以外にも、代謝が悪くなることで血流も悪化します。それによって、寒がる(冷え性)、体重増加(新陳代謝が悪くなる)、むくみ、肌荒れ、声嗄れ、便秘、無気力などの症状がみられるほか、女性では月経過多が起きやすく、また無排卵を起こしたりするなど不妊や流産の原因になることもあります。

治療について

検査の結果、橋本病と診断されたとしても、甲状腺の機能は正常であると判定されると治療を行うことはありません。ただ、甲状腺機能がいつ低下してもおかしくない状態ですので定期的に甲状腺の検査を受けるようにしてください。

また、甲状腺機能低下症であると診断を受けた場合は、不足している甲状腺ホルモンを薬物療法によって体内に補充する甲状腺ホルモン補充療法が行われます。

甲状腺疾患の検査について

甲状腺疾患(バセドウ病、橋本病 など)が疑われる場合ですが、まずは問診、触診を行います。問診の内容は自覚症状の有無、家族にこれまで甲状腺疾患に罹患した方がいたかどうかなどです。触診では、医師が患者様の首などに直接触れて、腫れやしこりの有無を調べていきます。

続いて、血液検査を行います。これは、血液中に含まれるホルモンの量を調べることで、甲状腺が正常に機能しているか否かを突き止めます。甲状腺ホルモンには、サイロキシン(T4)とトリヨードサイロニン(T3)の2種類があるのですが、これらの数値が基準値よりも高ければ甲状腺機能亢進症(バセドウ病 など)、低い場合は甲状腺機能低下症(橋本病 など)と診断されます。

また上記の甲状腺ホルモン値の数値を測定する検査と併せて、血液中の甲状腺刺激ホルモン(TSH)を測定する検査も行います。この場合、TSHの値がバセドウ病など甲状腺機能亢進症の患者様であれば基準値よりも低下し、橋本病などの甲状腺機能低下症の患者様であれば基準値よりも上昇します。

また、血液中の抗体を調べる抗体検査というのもあります(これも血液検査にひとつです)。バセドウ病や橋本病は自己免疫疾患によって引き起こされるものですので、血液中に抗甲状腺抗体が検出されるようになります。

その抗体の種類としては、抗サイログロブリン抗体(TgAb)、抗ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)、抗TSH受容体抗体(TRAb)があるのですが、これらを調べることで甲状腺疾患罹患の有無の判断がしやすくなります。ちなみに橋本病やバセドウ病の患者様は、TgAbとTPOAbが陽性となるほか、バセドウ病患者様ではTRAbが陽性となります。

また甲状腺腫瘍が疑われる、甲状腺の形状や大きさを確認したいという場合は、甲状腺超音波検査による画像診断を行います。

さらに甲状腺の腫瘍が良性か悪性かを診断する場合は、注射器で腫瘍に含まれる細胞を採取して、それを顕微鏡で調べる穿刺吸引細胞診となります。なお甲状腺腫瘍の大半は良性で、全体の5%程度が悪性(甲状腺がん)と言われています。

妊娠と甲状腺疾患について

バセドウ病や橋本病といった甲状腺疾患は比較的若い女性に発症しやすいので、これは妊娠適齢期に罹患するということでもあります。どちらにしても妊娠を希望される場合は、まず甲状腺ホルモンを正常の数値に近づけるようにしてください。

橋本病の患者様では、甲状腺ホルモンの分泌が低下している状態なので、無排卵になることが多く、これが不妊の原因になっていることもあります。またバセドウ病の患者様では、月経血が少ない、月経が軽度といったことがみられますが無排卵ということはありません。

ただ、甲状腺ホルモンが過剰な状態で妊娠すると流産、早産、妊娠高血圧症のリスクが高くなると言われています。まずは、これらの病気にしっかり向き合って、甲状腺機能をできるだけ改善してから臨まれるようにしてください。

妊娠をした場合ですが、妊娠8~12週目にかけて、甲状腺機能が亢進することがあります。これは、バセドウ病とは関係なく、これまで甲状腺疾患に罹患したことが無い方でもみられる症状で、大半は一時的なものです。

ただ、その症状が強く出ている場合は、治療が必要となることもあります。ちなみにバセドウ病の患者様は、妊娠の週数が進むごとに甲状腺機能が落ち着いて、症状も軽くなると言われています。

このほかバセドウ病や橋本病の患者様が妊娠したことでみられる影響ですが、バセドウ病の患者様では、母体に含まれる抗甲状腺抗体のひとつであるTRAbが胎盤を通して胎児に移行し、これによって胎児の甲状腺が刺激を受けるようになって、誕生後に甲状腺機能亢進症に似た状態になることがあります。

この場合、医師(産科医 など)による管理が必要になりますが、出生から3ヵ月程度経過すると自然と治まるようになります。

またバセドウ病の薬物療法で用いられるチアマゾールを妊娠中も服用し続けると奇形の赤ちゃん(頭皮欠損 等)が生まれるという報告があります。そのため、チアマゾールではなく、もうひとつの治療薬であるプロピルチオウラシルを服用するようにします。

なお橋本病で使用する甲状腺ホルモン薬については、胎児が何らかの影響を受けることはないとされていますが、妊娠が進むと薬の量が増えていくので、常に適用とされる量をチェックしていきます。

出産後の注意点ですが、バセドウ病の患者様で、チアマゾールを2錠以下、プロピルチオウラシルであれば6錠以下を服用しているということであれば、授乳によって赤ちゃんに甲状腺機能の異常がみられるようになるということはありません。上記よりも多い量を服用している場合は、医師にご相談ください。

一方、橋本病の患者様ですが、ホルモン補充療法による治療で母乳を飲む赤ちゃんが何らかの影響を受けることはありません。ただ、妊娠中や出産後は甲状腺機能が変化しやすく、甲状腺機能が低下することもあれば、無痛性甲状腺炎となって血液に含まれる甲状腺ホルモンが一時的ではありますが過剰になることもあります。

したがって、妊娠中はもちろん出産後も6ヵ月程度は、定期的に甲状腺ホルモンを調べる検査などを行うようにしてください。

当院では、甲状腺を調べる検査として、甲状腺ホルモン検査、甲状腺刺激ホルモン検査、甲状腺自己抗体の検査などを行っていますので、これまで甲状腺に何らかの異常がみられたことが無いという方も、将来的に妊娠を希望している、結婚などを機に一度体の隅々まで調べておきたいといった際に一度同検査をされることをお勧めします。

糖尿病

糖尿病とは

糖尿病とは

血液中には、ブドウ糖(糖質が消化吸収によって分解されたもの。脳のエネルギー源になる)が含まれるのですが、その濃度のことを血糖値と言います。

この血糖値が慢性的に高いのが糖尿病です。この場合、主に採血によって血糖値を測定することで発症の有無を確認します。具体的には、空腹時血糖値が126mg/dL以上、もしくは経口ブドウ糖負荷試験(OGTT)2時間値か随時血糖値が200 dL以上の場合に糖尿病型と判定され、同型が2回確認されると糖尿病と診断されます。

そもそも血糖値は、食事などをすることで上昇するのですが、ブドウ糖が細胞に取り込まれてエネルギー源となれば血糖値は元に戻るようになります。このエネルギー源に代わる際に必要不可欠なのがインスリンです。

インスリンとは、膵臓で作られるホルモンの一種ですが、これが何らかの原因で分泌しない、分泌量が少ない、量が充分でも効きが悪いとなると、ブドウ糖は細胞に取り込まれず、血液中で過多になって常に血糖値が高い状態となってしまうのです。つまりインスリンの作用不足が糖尿病を引き起こすようになるのです。

1型糖尿病と2型糖尿病

糖尿病発症の原因は大きく2つあります。ひとつは1型糖尿病と呼ばれるもので、これはインスリンが作成・分泌される膵臓ランゲルハンス島の中のβ細胞が自己免疫反応によって破壊され、インスリンがほぼ分泌していない状態です。

これによって、異常な喉の渇き、頻尿・多尿、全身の倦怠感、食欲はあるものの体重減少といった症状がみられます。また重症化すると昏睡状態に陥る糖尿病ケトアシドーシスがみられるようになります。1型の患者様については、速やかにインスリン不足が補えるよう、インスリン注射による治療が中心となります。

もうひとつの2型糖尿病は、不摂生な生活習慣の積み重ね(偏食・過食、運動不足、喫煙・多量の飲酒、過剰なストレス など)によって起きるもので、これは膵臓が疲弊しており、インスリンはわずかに分泌しているか、量が充分でも質が悪い状態になっています。

なお日本人の全糖尿病患者様の95%近くが2型で、この場合は初期症状がほとんどみられません。そのため、病状を進行させがちになるわけですが、定期的に健康診断を受けておけば、血糖値に異常があった際に医師から指摘を受けますので、速やかに受診されるようにしてください。

また、ある程度まで症状が進行すると1型でみられる症状(喉の渇き、多尿、倦怠感 など)が現れるようになります。心当たりがあれば速やかにご受診ください。

なお糖尿病で最も気をつけなければならないのは合併症で、病状を進行させると至る箇所で血管障害が起きるようになります。とくに細小血管で起きやすく、これらが集中している網膜、腎臓、神経で発症する合併症は、糖尿病三大合併症(糖尿病網膜症、糖尿病腎症、糖尿病神経障害)と言われています。

これらをさらに放置すれば、失明、透析、壊疽など深刻な状態に陥ることもあります。また、動脈などの太い血管では、糖尿病の発症によって動脈硬化を促進させるようにもなり、これといった治療や予防をしなければ、重篤な合併症(脳卒中、狭心症、心筋梗塞 など)を引き起こす可能性もあります。

治療について

1型の場合は、先にも述べたようにインスリン注射となります。2型では、インスリンが少しは分泌している状態なので、生活習慣の見直しから始めていきます。具体的には、適正エネルギー量の摂取(食べ過ぎない)、栄養バランスのとれた食生活(食品交換表を活用する など)といった食事面のほか、ブドウ糖の消費を増やしてインスリンの作用を高める運動療法(息が弾む程度の有酸素運動、例えば1回30分程度のウォーキング など)といったことを行っていきます。

生活習慣の改善だけでは血糖値が改善されなければ、経口血糖降下薬を用いた薬物療法も併用します。それでも難しい場合は、インスリン注射となります。

女性と糖尿病

女性ホルモンの一種であるエストロゲンは、血糖値の上昇を抑える働きもあると言われています。

そのため、女性は男性と比べると糖尿病に罹患しにくいとされていますが、多くの女性が閉経を迎えるとされる更年期(日本女性の閉経平均年齢は50.5歳)になるとエストロゲンの分泌は著しく減少するようになります。

そうなると高血糖の状態になりやすく、罹患率は上がるようになります。つまり、喉が異常に渇く、全身の倦怠感といった症状は、更年期症状ではなく、糖尿病の症状という可能性もあります。

更年期を迎えるという方は、これといった症状がなくても一度血糖検査を受けるようにするか、定期的な健康診断で血糖値の数値をしっかり確認するようにしましょう。

妊娠糖尿病について

また、妊娠中(とくに妊娠後半)の女性は、高血糖状態になりやすいという特徴があります。これは胎盤から分泌されるホルモンによってインスリンの働きが抑制されるなどして、効きにくい状態になるからと言われています。

そもそも妊婦さんは、妊婦健診を定期的に受診していて、血糖値が高いと判定されると詳細な検査として経口ブドウ糖負荷試験を行います。

これはブドウ糖を溶かした75gの液体を飲み、その後の血糖値の数値を測定していく検査で、空腹時血糖の数値が92mg/dL以上、ブドウ糖をとってから1時間が経過してからの数値が180mg/dL以上、2時間後の数値が153mg/dL以上のいずれかを満たしているという場合のどれか一点でも該当するという場合は妊娠糖尿病と診断されます。

また、元々糖尿病患者様の女性が妊娠をした場合は、糖尿病合併妊娠と診断されます。この妊娠糖尿病と糖尿病合併妊娠をまとめて、糖代謝異常合併妊娠と言います。

これらの場合、速やかに血糖のコントロールを行う必要があります。ただ、食事の制限をするわけではなく、妊娠時に必要とされる栄養を適切に摂取することに努めていきます。

それでも血糖のコントロールが困難ということであれば、インスリン注射になります。

経口血糖降下薬は使用しません。なお、妊娠糖尿病になりやすいタイプとしては、肥満、家族に糖尿病に罹患している方がいる、尿検査で尿糖が持続的に出ている方、巨大児を出産したことがある方、高齢出産(35歳以上)であるなどが挙げられます。

産後の糖尿病について

なお妊娠糖尿病は、完全な糖尿病というわけではないので、産後は高かった血糖値が下がることもありますが、数値が高いままということがあります。

そのため産後3ヵ月以内までに血糖値を確認する血液検査を受けるようにしてください。なお産後に数値が下がっていたとしても妊娠糖尿病と診断された方は、高血糖になりやすい体質でもありますので、将来的に糖尿病に罹患しやすく、正常な血糖値で妊娠、出産をされた方と比べると発症リスクは約7.4倍になるという報告もあります。

そのため、次の出産を考えている方はもちろん、そうでない方であっても、年1回程度は血糖値を調べる血液検査をされるようにしてください。


高血圧

高血圧とは

高血圧とは、慢性的に血圧が高いとされる状態のことを言います。日本高血圧学会によると外来での血圧測定で収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧(最低血圧)が90 mmHg以上の場合としています(家庭での計測時は、上が135 mmHg以上、または下が85 mmHg以上)が高血圧と診断される基準値としています。

このような状態になると心臓が血液を全身の各器官へと送り出す際に余分な負荷をかけなくてはならず、これによって血管壁はダメージを常に受け続ける状態になります。そして血管壁はその圧力に耐えられるよう肥厚化します。これが進行すると動脈硬化を招き、さらに血管は狭窄するようになります。

それでも自覚症状がみられないことも少なくなく、放置が続けば血流は悪化、さらには血管が詰まるということがあります。その結果、脳血管障害(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、腎硬化症といった重篤な合併症を引き起こすこともあります。

発症の原因については、原因をはっきり特定することができない本態性高血圧と明らかな原因があって発症する二次性高血圧に分けられます。前者は日本人の全高血圧患者様の9割程度を占めるとされ、原因不明となっていますが、もともと高血圧になりやすい体質である、日頃の生活習慣(塩分の過剰摂取、肥満、食べ過ぎ、運動不足、喫煙、多量の飲酒 など)が関係しているのではないかと言われています。

また後者は、甲状腺疾患(橋本病などの甲状腺機能低下症・バセドウ病などの甲状腺機能亢進症 など)、原発性アルドステロン症、睡眠時無呼吸症候群、腎実質性高血圧症などの病気や薬物の副作用(ステロイドの長期投与 など)が挙げられます。

治療について

治療をするにあたっては、まず食事面から見直していきます。とくに注意するのが塩分の摂取量です。高血圧の患者様の場合、1日の食塩摂取量を6g未満とします(日本人の1日の平均食塩摂取量は11~12g、味付けを工夫するなどして薄味に対応できるようにします)。また利尿作用があるカリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂取し、塩分を尿で排泄するなどしていきます。

また肥満の方は、心臓にかかる負担を減らすために減量に努めていきます。具体的には、BMI(ボディマス指数)【体重(kg)】÷【身長(m)の2乗】で25を超えると肥満と判定されます。

また運動によって降圧効果が得られることから運動療法も取り入れます。ただ激しい運動は血圧を上昇させてしまいます。

内容的には、息がやや弾む程度の有酸素運動(ウォーキングや軽いジョギング など)を1日30分程度で充分ですが、できるだけ毎日行うようにしてください(運動内容については一度医師にご相談ください)。このほか喫煙者は禁煙をアルコール好きの方は節酒もしていきます。

上記のような日常生活の見直しだけでは、血圧のコントロールが難しいという場合は、併せて薬物療法も行います。患者様に用いられる治療薬には、ARB、ACE阻害薬、カルシウム拮抗薬、利尿薬、β遮断薬などがあります。

処方される薬については患者様の状態によって異なり、医師の判断で、1つの薬剤で済むこともあれば、複数以上使用することもあります。なお服用によって、血圧が下がったとしても勝手に服用を止めたりせずに医師の指示に従うようにしてください。

女性と高血圧

女性ホルモンの一種であるエストロゲンには、血管をしなやかにさせる成分が含まれるなどするので男性と比べると高血圧の状態になりにくいとされていますが、妊娠時と更年期以降に血圧が高くなりやすくなると言われています。

妊娠高血圧症候群について

妊娠高血圧症候群について

妊娠時に高血圧を発症したのであれば妊娠高血圧症候群(妊婦さんの約20人に1人の割合で起きる)、もともと高血圧の状態にあった方、妊娠20週より前に高血圧と診断された方は高血圧合併妊娠と言います。

また妊娠20週目以降で高血圧の症状が確認された場合は妊娠高血圧症、高血圧と蛋白尿が確認された場合を妊娠高血圧腎症と言います。ちなみに高血圧と診断される基準は、収縮期血圧(最高血圧)が140mmHg以上、または拡張期血圧が90mmHg以上の場合としています。また蛋白尿については、尿中にたんぱく質が1日当たり0.3g以上出ている状態を言います。

発症の原因については現時点では特定されていませんが、肥満の方、糖尿病や高血圧、腎臓疾患などの病気に罹患している、高齢の妊娠(40歳以上)、家族に高血圧の患者様がいる、多胎妊娠、初めての妊娠、以前に妊娠高血圧症候群と診断された方については発症リスクが高いと言われています。

主な症状は、高血圧、蛋白尿のほか、妊娠中の急激な体重増加やむくみ(浮腫)といったもので、重症化すると、母体の方で、けいれん発作(子癇)、脳出血、肝臓や腎臓の機能障害などがみられ、胎児には常時胎盤早期剥離、胎児発育不全、胎児機能不全などが見受けられるようになります。そのため、妊娠高血圧症候群との診断を受けたら速やかに治療を受けるようにしてください。

治療について

主に安静と入院を要するとされ、重症の場合は薬物療法として血圧を下げる降圧薬(カルシウム拮抗薬、α・β遮断薬 など)や硫酸マグネシウム(けいれん予防)等を用いるようにします。

なお、この病気は根本的に治すことは困難で、妊娠を終わらせることが効果的な治療法でもあるので、時期が早かったとしても出産する体制を整えていきます。多くの場合、出産をすることで、高血圧の症状は改善されるようになります。

産後の高血圧

なお産後1ヵ月の間というのは、なかなか血圧が下がりにくい状態にあります。この時期は、赤ちゃんのお世話や生活環境の変化などのストレス、不眠、疲労、食生活の乱れなどが起こりやすいので、なかなか下がりにくいということがあります。

また、重症化していた場合、出産後も高血圧や蛋白尿が続いたままになることも少なくありません。産後も高血圧が続けば、脳血管障害(脳梗塞、脳出血 など)、肝臓や腎臓が機能低下を引き起こす病気を併発する可能性もありますので、しっかり血圧をコントロールしていく必要があります。

なかなか下がらないという場合は、医師から降圧薬を処方されることもありますのでご相談ください。

大半は1ヵ月を過ぎる頃には、血圧が安定するようになります。それでも日頃から血圧を測定する習慣をつけ、また食生活についてもカリウムや食物繊維を多く含む食品を摂取するなど食生活を見直すほか、運動も効果的と言われています。

この場合、息がやや上がるくらいの有酸素運動を1日30分程度行うようにしてください。運動を始める時期などについては医師と相談するようにしてください。

更年期の高血圧

更年期(45~55歳)にさしかかると多くの女性は閉経を迎えるようになりますが、その際に女性ホルモン(エストロゲン)が急激に減少するようになります。

同ホルモンは血管の柔軟性に関わっているとされるもので、分泌不足によって血管は硬直しやすくなって、やがて男性と同様に動脈硬化を招きやすくなります。

そのため、女性は閉経期前後の世代になると高血圧の罹患率というのが急激に上昇するようになります。そのため、更年期を迎える頃になった方は日頃から血圧を測定するなどし、数値に異常がみられるようであれば一度ご受診されるようにしてください。


脂質異常症

脂質異常症とは

血液中には脂質が含まれているのですが、その中のLDL(悪玉)コレステロールや中性脂肪(トリグリセライド)の数字が基準を超えて高い状態にある(高脂血症)、もしくはHDLコレステロールが基準とされる数値よりも少ない状態にあると判定されると脂質異常症と診断されます。

具体的な数値については以下の通りです。数値については、定期健診で行う血液検査によって確認することもできます。

  • ・LDLコレステロール値≧140mg/dL(高LDLコレステロール血症)
    ・中性脂肪≧150mg/dL(高トリグリセライド血症)
    ・HDLコレステロール値<40mg/dL(低HDLコレステロール血症)

脂質異常症には上記のように3つのタイプに分けられますが、いずれのタイプであったとしても血管にLDLコレステロールが蓄積されやすくなります。

放置が続けば、やがて動脈硬化を招き、さらに進行すれば血流が悪化、あるいは詰まるなどして、脳血管障害(脳梗塞 など)や虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)といった合併症を招くようになります。

なお、同疾患も自覚症状が現れることはなく、多くの患者様は健康診断でのLDLコレステロールの数値などの異常を指摘されて気づくことがほとんどです。それでも症状がないからとそのままの状態にしておく患者様は少なくありません。

そのため、上記のような重篤な合併症を発症して気づくという場合もあるので注意が必要です。

発症の原因については、主に2つあると言われています。ひとつは原発性脂質異常症です。これは主に遺伝によって引き起こされるもの(家族性高コレステロール血症などが含まれる)です。

もうひとつは続発性脂質異常症です。この場合、日頃の不摂生な生活習慣(コレステロールや動物脂肪を多く含む食品を摂取する、食べ過ぎ、運動不足 など)、他の病気(糖尿病、橋本病などの甲状腺機能低下症、慢性腎臓病 など)に罹患している、ステロイド薬の長期投与などがきっかけとなって起こると言われています。

治療について

治療の目的は、脂質異常症の3つのタイプのどれかであってもLDLコレステロール値の数値を下げることになります。同値を下げることは、中性脂肪やHDLコレステロールの改善にもつながるからです。この場合も生活習慣の改善から始めていきます。食事面の改善についてはタイプによって多少異なります。

高LDLコレステロール血症の患者様では、コレステロールを多く含む食品(レバー、卵黄、乳製品、魚卵、肉の脂身 など)や脂っこい料理(揚げ物 など)を避け、食物繊維を多く含む食品(野菜、海藻、きのこ など)、たんぱく質を摂取する場合は肉ではなく、魚や大豆製品に変更するようにします。高トリグリセライド血症の患者様では、主に糖分(甘い物)やお酒を控えます。さらに低HDLコレステロール血症の患者様では、トランス脂肪酸を含んだ食品を控えます。

また運動は、HDLコレステロールを増やし、中性脂肪を減らす効果があるので、日常生活に取り入れるようにします。その内容に関しては激しい運動は必要なく、やや汗ばむ程度の有酸素運動で充分とされ、具体的には1回30分程度のウォーキングで効果があるとされますが、できるだけ継続的に行うようにしてください。

上記のような生活習慣の改善だけでは、LDLコレステロールの数値が下がらないという場合は、同値を下げる効果があるとされるお薬を服用する薬物療法も併行して行います。

女性と脂質異常症

女性は更年期を迎えるあたりまでは、脂質異常症が疑われる割合は少ないとされていますが、50を過ぎる頃にはLDLコレステロールの数値が急上昇し、中性脂肪は40歳前後に上昇し、HDLコレステロールは、50歳を過ぎたあたりから低下するようになります。

このことから、閉経によるエストロゲンの減少が脂質の代謝と深く関係しているのではないかと言われ、60代になると脂質異常症が疑われる人の割合は男性と変わらなくなっていきます。

そのため、50歳を過ぎる頃には、骨粗しょう症の検査と同時にコレステロールなどの数値もしっかり確認し、数値が高いと判断すれば生活習慣を見直すなどの予防対策をするようにしてください。

妊娠と脂質異常症

また妊娠中は、女性ホルモン(エストロゲンやプロゲストロン)が増加するなどして、コレステロールや中性脂肪の数値が高くなることがあります。

ただこの場合、通常の脂質異常症とは異なり何らかの血管障害を招くことはないと言われています。注意しなくてはならないのは、妊娠前から何らかのコレステロールの治療(家族性高コレステロール血症 など)を行っている患者様で、妊娠中はLDLコレステロールの血糖値を下げるスタチン系の内服薬は使用できません(使用によって、赤ちゃんに奇形などがみられる)。

ただ、この薬を用いない対応策というのもありますので、可能であれば妊娠前に一度ご相談ください。


EASE女性のクリニック

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